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営業譲渡の方法

営業譲渡とは、会社の営業の全部または一部を他の会社に譲渡することです。個々の資産や負債の譲渡とは異なり、一定の営業目的のために組織された資産や負債に加えて、経営組織、ノウハウ、取引先との関係などを一体として譲渡します。

会社が、複数の事業を営んでいる場合や、複数の事業所を持っている場合に、その一部だけを第三者に譲りたい場合には、営業の一部譲渡が行われます。債務が過大であったり、簿外債務のおそれが大きいため、そのままでは第三者に会社を引き継がせることができない場合には、引き継ぐ債務を限定して、営業の全部譲渡が行われます。

営業譲渡が行われる場合は、譲渡する資産と負債の差額に営業権を加えた金額が、買い手企業から売り手企業に支払われます。



営業譲渡の手続

営業譲渡は、比較的煩雑な事務手続を必要とします。
まず、移転する資産や債務については、個別的に移転手続が必要とされます。

例えば、債権については各債務者に対する通知、不動産については移転登記、債務については各債権者の承諾を得る必要があります。
また、従業員の転籍についても、個別に同意を得る必要があります。

さらに、設立後二年以内の会社が営業譲受を行う場合には、裁判所が選任する検査役の調査を受けなければならないことがあります。

なお、株式譲渡の場合は、株主が交替するだけなので、こうした移転手続は必要ありません。また、合併や会社分割の場合も、これらの移転手続は必要ありません。


営業譲渡に対する課税

営業譲渡を行う資産のなかに含み益のある場合や、営業権が含まれる場合には、売り手企業には、譲渡益に対する法人税等の負担が生じます。

営業の全部譲渡を行った後に会社を清算する場合には、払込資本を上回る残余財産の分配を受けた株主には、配当所得として所得税が課せられます。

このように、売り手企業からみると、営業譲渡は株式譲渡の場合と比べて、税負担が大きくなります。

一方、買い手企業からみると、株式譲渡よりも営業譲受の方が税務上のメリットが大きくなります。まず、資産はその時の時価で取得することになるため、含み益や含み損を引き継ぐことはありません。また、営業権の対価を支払った場合、株式取得の場合は株式の取得価額に含まれることになりますが、営業譲受の場合は営業権として資産に計上し五年間で償却することができます。


会社分割

会社分割とは、会社がその営業の全部または一部を他の会社に承継させるという制度で、平成一二年の商法改正により導入されました。

会社分割には、特定の営業を新しく設立する会社に承継させる「新設分割」と、既存の他の会社に承継させる「吸収分割」があります。営業を承継する会社は、分割を行う会社又はその株主に、株式を割当てます。

例えば、A社が特定の事業を、新たに設立するB社に分割する場合、A社がB社の株式の割当てを受けるときは、B社はA社の一〇〇%子会社になります。A社の株主がB社の株式の割当てを受けるときは、その株主はA社とB社の両方の株主になります。

営業の一部譲渡を行う替わりに、新設分割により会社オーナーに株式を割当て、その株式を第三者に譲渡すれば、営業譲渡のデメリットを解消することができます。すなわち、資産と債務の個別の移転手続を必要とせず、株主においては、株式譲渡対価のうち営業権に相当する部分について株式譲渡益としての課税を受けます。

また、営業を承継する会社が上場企業である場合には、吸収分割によりその上場企業の株式の割当てを受ければ、換金性のある株式を手に入れることができます。

こうしたことから、M&Aにより営業の一部を移転させる場合には、できる限り、会社分割の手法を活用することが適当であるといえます。


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