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税務訴訟制度が壊れている
 

◆ビンボークジ
電子辞書をひきますと、貧乏くじとは「他に比べて不利益なくじ、転じて損な役回り」と解説してあります。
筆者は一つの税務訴訟を担当しましたが、ヒドイ内容の判決をもらいました。これは被告・代理人や裁判官との巡り合わせが悪く「貧乏くじ」を引いてしまった結果に違いありません。
訴訟の内容が余りにも、腹立たしいものですから、ついつい本書の表現がきつくなり、不適切な表現があるかと思います。この点をはじめにお詫び申し上げ、失礼の段をお許しください。

◆税務訴訟の報告(Report)
1章から7章まで、この度の税務訴訟の内容を報告しています。税務知識がない読者でも読めるように2章に基礎知識を解説しています。このReportの目的は、判決の内容が「ヒドイ」と実感してもらうことですから、余り深入りしないで、サラリと走り読みして頂ければ結構です。

◆税務訴訟制度が壊れている
Reportで感じて頂いたとおり、この税務訴訟の関係者(裁判官、被告・代理人、弁護士)の全員が税務知識に乏しいことが判明しました。あくまでも、この税務訴訟についてのことです。
しかし、最近の税務訴訟の納税者の勝訴率は1割強しかありません。つまり9割近い納税者が負けていますから、この敗訴者の中にも「ビンボークジ」を引いた方が多く含まれていると直感します。現在の税務訴訟のシステムは壊れているのです。

◆税務訴訟制度の改革(Reform)
壊れた税務訴訟制度を放置しますと「不当な税務行政からの救済を求めて訴訟した納税者の権利が守られない」ことになります。
本書は、税務訴訟制度の改革を目的として出版致しました。税務訴訟制度の改革の「たたき台」を9章に提案しております。
より良い改革案を国民(納税者)の皆様の叡智を集結して策定し、緊急に税務訴訟制度の改革を実現することが必要です。
この他、10章に通達と措置法の改正を提案しています。

◆改革のための一石
今回の税務訴訟で多くの先生方のご協力を頂きました。敗訴したものですから、十分な報告やお礼を申し上げておりません。
先生方にはボランティアでご協力頂きました。この場を借りて厚くお礼申しあげます。
また、本書は著者が独自にまとめたものですから、文責は全て筆者が負うものです。
最後に、本書が「税務訴訟制度」改革のための一石となって、波紋が拡がってゆくことを願っています。

 

税理士 黒木貞彦 著
実業之日本社 定価 1,575円(税込) 2011年6月15日 初版第1刷発行